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 待ちに待ったGW。アースラも整備に出してクルー全員が休暇を取りました。
 だからこの一週間は家族で一緒。
 だけどまずはなのはやはやて、アリサやすずかたちと一緒に温泉旅行です。




温泉の一時



「ここの温泉、良かったわね」
「うん、そうだね。また後で入りに来ようか」
「それはええね、せやったら先にお土産見に行こか?」
「さんせー。はやて、美味いもんあるかな?」
「うーん、温泉に入るなら遊戯場で遊んでからでもいいと思うけど」

 荷物を置いてすぐ温泉に入ってきた私たちは宿の中を探検することにしました。
 一緒にいるのは私になのは、はやて、ヴィータ、アリサにすずかの六人。
 アルフやエイミィたちはまだゆっくり温泉に入っているんだって。

「ねえフェイト、フェイトはお土産と遊戯場、どっちに行きたい?」
「私はどっちでも。でもお土産を見てからたっぷり遊ぶのもいいかな」
「それもそうね。なら先にお土産を見に行くわよ」
「おー!」

 お土産か、買っていくとしたらクラスのみんなの分かな?
 後はアレックスたちにも買ったほうがいいかな?
 この前の連休の時はみんなも何かしら買ってきてくれていたもんね。
 あれ? あれは何だろう?

「ねえなのは、あれは何?」
「何フェイトちゃん。あれは家族風呂だよ」
「家族風呂?」

 ええっと、なのはの世界にはいろんなお風呂があることは知っているけど家族風呂は聞いたことがなかったと思う。

「何フェイト、家族風呂知らないの?」
「うん、ヴィータは知っているの?」
「知らねえ、風呂は風呂だろ」
「二人ともしょうがないわね。家族風呂って家族では入れるお風呂のことよ」

 家族で? でもそれって普通のお風呂と変わらないんじゃないかな?

「その顔はわかっていないわね」
「うん、普通のお風呂と同じにしか思えない」
「まあ普通のお風呂って言えば普通のお風呂だよね」
「せやな、特別の意味がちゃうからな」

 それって普通なの? それとも特別なの?
 う〜ん、やっぱりよくわからないな。

「うーんとね、さっきのお風呂は女の人だけだったでしょ?」
「うん」
「私は家だとたまにお父さんと入ったりもするんだけど、ここだと一緒には入れないよね」
「うん、女の人だけだから」
「だけど家族風呂なら私とお父さんが一緒には入れるんだよ」
「そうなんだ」
「せや、普通は男湯と女湯に分かれとるもんや。せやけど家族風呂は貸しきりやから男女関係なく入れるんや」
「まあフェイトにわかりやすいように言うと、フェイトとクロノが一緒に入れるのよ」
「えっ!?」

 わ、私とクロノが一緒!? そんな、アルフやお母さん、エイミィとは一緒に入ったことあるけどクロノとなんて。ま、まだ早いよ。だけどこのままだとはやてにとられちゃうかもしれないし。ううん、はやてだって一緒にお風呂に入ったりはしないはず。ああでもだからこそ一緒に入るのもいいかも。ダ、ダメ、そんなの恥ずかしくてできないよ。

「フェイトちゃ〜ん」
「な、なのははどう思う!? やっぱりクロノと入るべきかな?」
「え、えっと、どうなんでしょう?」
「ダ、ダメやでフェイトちゃん、兄弟でお風呂はいるなんて不潔や」
「どうどう、落ち着いて落ち着いてフェイトちゃん」
「まったく、そこまで慌てることないでしょ。私たちなんて普通にユーノと一緒に入ってたわよ」
「えっ?」

 ユーノと一緒に? いつ?

「まだユーノが人間だって知らなかったときだけどね、フェレットモードのユーノ連れて温泉入って隅から隅まで洗ってやったわ」
「私もフェレットモードのユーノ君とは普通に入ってたよ」
「そうそう、だから深く考えないで大丈夫だよ」
「そ、そう」

 だけどそれって普通なのかな?

「はやて、もしかしてあいつって人間扱いされてないんじゃないのかな?」
「せやな、少なくとも男の子としては見られてへんな」

 私もそう思う。




 うん、お土産も買ったし次は遊戯場だね。
 この前言ったところは卓球台とかゲーム機とかあったけどここのはどうなのかな。

「あれ、あの子どうしたのかな?」
「すずか、どうしたの?」
「ほら、あの子、泣いているみたいなんだけど」

 あ、本当だ。
 まだ小さい、たぶん四歳ぐらいの子どもだと思うけど廊下の隅で泣いているみたいだ。
 この場合やっぱり迷子になるのかな。

「ねえぼく、こんなところでどうしたの?」
「ぅえ〜〜ん」
「泣いててもわかんねえよ。つか泣くな」
「ぅえーーーん!」

 大声で泣き出しちゃった。どうしよう。

「こらヴィータ、怒鳴ったらあかん。なあぼく、これ食べんか?」
「…ぐす、くれるの?」
「せや、その代わりもう泣かんでな」
「…うん」

 すごい、簡単に泣き止んじゃった。

「はやてちゃんすごーい」
「たいした事やあらへん。小さい子はお菓子あげると泣き止むんや」
「…なるほど」
「なんであたしの方見るんだよ」

 すごいなはやては。私はどうしたらいいのかぜんぜんわかんなかったのに。
 はやては料理もできるし面倒見もいいし、魔法の腕もこれから伸びるだろうし、いいな。
 クロノもやっぱりはやてみたいな女のこの方がいいのかな。もしそうだったら…やだな。

「それで、僕のお名前は何って言うんや?」
「…こうた」
「こうた君やな。わたしははやてや。そんでこの子はヴィータや。それでお父さんやお母さんはどうしたん?」
「お風呂」
「こうた君一人置いてか?」
「ううん、お姉ちゃんと一緒。だけどお土産見ているうちに迷っちゃった。
 お姉ちゃん、どこかな?」

 また泣きそうだ。たぶん一人だから。私も一人は寂しいからよくわかる。
 たぶんこの子はプレシア母さんに捨てられたときの私と同じだ。何もわからなくて、辛くて、寂しかったときの私と。
 だけど私にはアルフがいた。バルディッシュがいた。なのはがいた。
 だからすぐに立ち上がることができた。
 だけど今この子は一人だ。一人で泣くことしか出来ない。
 あの時の私と違ってこの子は家族とはぐれただけだけど、今は一人だから。
 誰かが手を差し伸べてあげないといけないだ。

「じゃあ私たちと一緒に探そうか?」
「お姉ちゃんは?」
「私はフェイト、ねえこうた君、お姉ちゃん達と一緒に探そうか?」
「探してくれるの?」
「うん。手、繋ごうか」
「…うん」

 小さい手だ。こんな小さいのに一人で寂しさと戦っていたんだ。

「じゃあ探しに行こうか?」
「うん」

 必ず見つけてあげるからね。




 こうた君のお姉さんはすぐに見つかった。
 お姉さんはとっても必死に探していたみたいだった。
 お姉さんと会えてこうた君も本当に嬉しそうだった。よかった。

「でもフェイトには驚いたわ。いきなり横から出て一緒に探そうだもの」
「うん、あのままはやてちゃんに任せたほうがいいと思ってたから意外だったね」
「そ、そうかな」
「せやな、正直助かったわ。わたしの場合話を聞いてあげることはできるんやけど手を繋いであげるのは無理やからな」
「そ、そんなことないよ。私はただ、昔の自分を思い出したらじっとしてられなかっただけだから」

 そう、昔の自分のことを思い浮かべなかったらあんなふうに手を握れなかった思う。
 あんな寂しい気持ちは嫌だから、私みたいな子がいるのは嫌だったから、だから何とかしたいと思えたんだ。
 今度は誰かが私の手を握っている。とても温かい。

「なのは……」
「大丈夫だよ。だって私たちがいるもん」
「そうよフェイト、寂しいなんて言わせないからね」
「うんうん、私も同じだよ」

 アリサ、すずかも……
 二人にはプレシア母さんのことは話していない。
 だけど私の名前にハラオウンの姓がついた時、お母さんと私が本当の家族じゃなったこと教えた。
 二人とも最初はちょっと困った顔してたけど、その後は大騒ぎだった。

「大丈夫だよ。今はなのはたちも、お母さんも一緒だから。それに、クロノも」
「せや、わたしらも仲間はずれにせんといてな」
「そうだぞ」
「うん」

 はやてもヴィータも、シグナムたちもみんないる。家族も、友達も、目標も、そして大切な人も。
 だから大丈夫。




 ………眠れないなぁ。
 さっきまではみんなと話していたし、そのあとはファリンさんがお話を聞かせてくれていたけど今はもういない。
 今はもう他の部屋のみんなも眠ってしまっている。
 私もさっきまでは眠っていたけど、目が覚めちゃった。
 たぶん、こうた君に会ったからかな。少しだけ、昔のこと思い出しちゃった。
 もうプレシア母さんには会えないから。
 プレシア母さんと一緒だったあの場所よりも私はここを選んだ。あそこはしょせん夢の中に過ぎないから。
 お母さんはいてくれる。十分に愛してくれていると思う。だけどやっぱり、時々プレシア母さんのことが頭をよぎる。
 私にはアリシアの記憶も、優しかったプレシア母さんとの記憶もあるから。

「ダメだな。少しお風呂に入ってこようかな」

 たしかここのお風呂は二十四時間入れるはずだ。
 タオルは向こうにあったし、浸かるだけなら特に道具も必要ない。
 アルフはよく眠っているからこのままここに置いておいて、みんなを起こさないように注意しないと。
 みんなの間を抜けて部屋から出る。廊下の明かりは消えているけど、窓から差し込んでくる月明かりだけでも十分に明るい。うん、これなら歩くのに問題はなさそうだ。

「フェイト、こんな時間にどうしたんだ?」
「クロノ?」

 クロノも起きていたんだ。

「少し眠れなくて。だからお風呂に入ろうと思って」
「そうか、僕もたまにはゆっくり浸かってみようと思ってね。途中まで一緒に行こう」
「うん」

 クロノと一緒だ。今日はなのはたちと一緒にいたし、クロノも恭也さんや士郎さんと一緒にいたからあまり話せていない。だからこんなことでも嬉しく感じる。
 それに普段は他に誰かいるから二人だけなのも久しぶりだ。

「今日は楽しかったかい?」
「うん、みんなでお風呂に入って洗いっこしたり、一緒のお土産も見たりたのしかった。
 それにお風呂の後に卓球をやったんだけどやっぱりすずかには敵わなかったよ。ヴィータやアルフも負けてた。
 シグナムと美由希さんはなんとか勝ってたけど」
「それはすごいな。僕でも勝てないかもしれないな。前から思っていたがなのはの周りには優秀な子が多いな」
「うん、私もそう思う」

 魔力がある人は他にいないけどすずかもアリサも本当にすごいと思う。
 恭也さんや士郎さんもシグナムが言うには見るだけでもわかる実力者らしい。私にはそこまでわからなかったけど、シグナムが言うんだからたぶん本当なんだと思う。私ももっと頑張らないと。

「僕にとっては君も含めてなんだがな」
「そ、そんなことないよ。私もまだまだ頑張らないと」

 最近始めた執務官になるための勉強も大変だし、戦闘訓練も頑張らないと。
 だけどどっちもクロノが先生になってくれるから嬉しいんだ。だから早くクロノと肩を並べるようになりたいって思えて、もっともっと頑張れるんだ。

「と、男湯はこっちだがたしか女湯はそっちだったな。ここでいったん別れよう」

 あ、もうそんなところまで来ちゃったんだ。もう少し話したかったんだけどな。
 もう少し一緒にいられないかな……あ、そうだ。

「ね、ねえクロノ、一緒に入らない?」
「な、何を言っているんだ?」

 う、うん、とんでもないことを言っているのはわかっている。だけど一緒にいたいから。
 それにクロノと一緒にいると嬉しくて、不安だったものが消えていくんから。さっきまで思っていたアリシアやプレシア母さんのこととか、一人だと考えちゃうことも一緒にいれば大丈夫だから。

「昼間家族風呂を見つけたんだ。アリサが言うには私とクロノが一緒に入ってもいいんだって」
「た、たしかに僕とフェイトは兄妹だが、だからといって気にしないでもいいというわけじゃないんだぞ。
 も、もっと恥じらいを持たないと」

 は、恥ずかしいよ。恥ずかしいに決まっている。だ、だけどクロノと一緒に入るのは別に嫌じゃないから。

「ダ、ダメかな?」
「うっ」

 やっぱりダメなのかな。

「そ、そうだ、たしか家族風呂は前もって予約しないといけなかったはずだ」
「そうなの?」
「ああ、たしか部屋に通された時にそんなことを言っていたと思う」
「そっか」

 予約しないといけなかったんだ。じゃあしょうがないか。……安心したような残念なような、不思議な気持ちだな〜




 岩に囲まれた温泉には照明もあったけどあえてつけず、月明かりだけを頼りに湯船に入る。
 窓の外には澄んだ星空と半分の月、そして下に目を向ければ森が見下ろせる。
 だけど森は暗くて、目を向けて楽しいのは星空ぐらいだ。
 こうして一人で落ち着いて考えるとよくさっきはあんなことを言えたものだと思う。
 話がしたいと思って、一緒にいたいと思って言ったことだけど、いざ一緒に入った時のことを考えれば話なんてできるはずないのに。
 だけどそれでも、どんなに恥ずかしくても、一緒に入りたかった。
 だって私がクロノと一緒にいられる時間は少ないから。
 巡航任務は本来巡航艦で生活するからこの世界に長くいられない。お母さんはなるべく夜には帰ってこれるようにしてくれているけど、それが大変なことだっていうことも知っている。
 だからクロノは滅多に帰ってこない。
 アースラにいるときもクロノは仕事で忙しい。訓練や勉強には付き合ってくれているけど、それ以外にはあまり話す時間もない。
 それに、はやてのこともある。
 この前からはやてはクロノに週一回魔法を教えてもらう約束をしている。
 私がクロノと一緒にいられるのは大半が仕事の時なのに、はやてはプライベートで会いに来ている。
 たぶんこれからはやてとクロノの距離は短くなっていく。だけど私も負けたくない。
 私とクロノは兄妹だけど、私がクロノのことを好きなのはかわらないから。

「はあ」

 本当に大変だ。

「テスタロッサ、おまえはさっきから一人で何をしているんだ?」
「えっ、シ、シグナム!」

 な、何でシグナムがいるの? 入ってきた時は明かりは消えていたし、その後も誰か入ってきた様子はなかったのに。

「い、いつからいたんですか?」
「おまえが入ってくるよりも前からだ。せっかくの温泉だからな、じっくりと堪能しようと思っていたのだ。
 星空を見上げながらの入浴も悪くはない」

 全然気がつかなかった。誰もいないと思っていたのに。

「それでどうした、何を悩んでいるのだ?」
「えっと、それは……」

 人に話すようなことじゃない。というよりシグナムに話す事じゃない。
 クロノとはやての事で悩んでいたなんて言えるわけがない。
 だってシグナムははやての守護騎士だ。私とはやて、どっちの味方かといえば間違いなくはやてだ。
 他のことならともかくこの戦いではやてに弱いところを見せたくない。

「…なるほど、そういうことか」

 そんなに呆れたふうに溜息をつかなくてもいいじゃないですか。
 それにしてもそんなにわかりやすかったかな? もしかしたら勘違いしているのかも。

「それでハラオウン執務官、おっと、今はプライベートなのだからハラオウンのほうがいいか。
 ハラオウンとなにかあったのか?
 私はたしかに主はやての味方だが、特にどうしろと指示は受けていない。
 たしかにハラオウンが主はやてを選んでくれるならそれに越したことはないが、だからといっておまえを軽んじるつもりもない。話を聞くぐらいならするぞ」

 本当にバレバレだ。そんなにわかりやすいのかな?
 でも、だったら話を聞いてもらうぐらいならいいかな。

「でしたら少しだけ。最近はやて、クロノといること多いですよね」
「そうだな、少し前と比べれば多くなった。だがそれでも一緒にいる時間はおまえの方が多かろう。
 主はやても気軽にアースラまで遊びに行くわけにはいかん。
 たまに仕事で出かけるときも本局に行くことが多いからな。ハラオウンと会う機会は多いとはいえない」
「はい、ですけどその一緒にいる時間が多くなるのが二人の距離が縮まっているように思えて。
 私に対してはそうではないですけど、お母さんとクロノは仕事中は親子としての触れ合わないようにしていますし、やっぱりクロノは私にとって目標でもありますから自然と上司と部下として接するようになっているので。
 はやてがアースラに来る時は仕事とは関係ないですし、二人だけになることもしばしばあるので」
「なるほどな、だが主はやてが行くのはミッドチルダ式の魔法の講義を受けるためだ。その中ではハラオウンとの関係は教師と教え子にしかならんだろう」

 うん、私もクロノに勉強を教えてもらう時は厳しい。怒鳴ることはないけどそれでも密度が高く、大変な勉強をさせられる。だけど問題なのはそれだけじゃない。

「ですけどはやてはクロノにお弁当を作っていきますし、この前見た時は疲れているからってクロノの膝を枕にして眠っていました」
「ほう、それは知らなかった」

 私だってそんなことしたことないのに。たまにクロノが帰ってきた時も一緒にテレビを見ることはあっても膝枕なんてしてもらったこともしたこともないのに。はやてはずるい。
 だけど、はやては積極的で羨ましいな。私ももっと頑張らないと本当にとられちゃう。

「クロノに振り向いてもらうにはどうしたらいいんでしょうか?」
「…テスタロッサ、これはあくまで私の個人的な意見だ。正答とは程遠いかもしれんがそのことを理解したうえで聞いてほしい。
 私は主はやてにしろテスタロッサにしろ無理をして背伸びをする必要はないと思う。
 ハラオウンは優秀な人間だ。ありのままのおまえ達を見てくれているだろう。だからおまえ達がするべきことはハラオウンに好かれる為に無理をすることではない。自分を偽って無理にハラオウンに合わせようとしても上手く行くとは思えない。
 だからおまえはおまえらしく、そのままでハラオウンに近づけばいい。無理をして距離を縮めようするよりもそのほうがよほどいいだろう。
 ハラオウンはおまえのことも大切にしているし、常に気にかけている。ならばありのままのおまえで接し、その上で好きになってもらうべきであろう。
 だから無理をする必要はない。いまできることから少しずつ行っていけばいい。少なくとも私はそう思う」
「私…らしく……」

 私らしくってどういうことだろう。私らしい接し方ってどんな方法だろう。
 私ははやてほど料理が得意なわけじゃない。クロノほど色々できるわけでもない。シグナムのように強いわけでもない。そんな私の、私らしい接し方って言われてもよくわからないよ。

「ようは深く考えるなということだ。自然体で接するのが一番だということだ。もちろん、気にしてもらうための行動をとるなとは言わんがな。
 幸いハラオウンもこの一週間は休み、自宅にいるのであろう。ならばこの機会に自分なりの接し方を見つめてみるといい」

 自然体、か。難しいな。だけど、私もそれが一番いいような気がする。うん、頑張ってみよう。

「…はい、そうします」

 まずはこの一週間、どうしようかな。




 温泉から出るといつの間にか月は雲に隠れてしまい暗くなってしまっている。来る時通った縁側の道は明かりがないから中を回った方がいいかな。シグナムはもう少し温泉に浸かってくるそうだから一人だし。

「ようやく出てきたか」
「クロノ、もしかして待っていてくれたの?」
「ああ、言っただろう、いったん別れようって。僕は帰りも一緒に行こうという意味で言ったつもりだったんだが、伝わってなかったみたいだな」
「うん、ごめんね」

 そっか、クロノは帰りも一緒にいてくれるつもりだったんだ。
 クロノは出るのが早いから私の方が後になるのもわかっていたはずなのに。

「かまわないさ、さあ行こうか」
「うん」

 あれ? クロノが私のほうに出している手は何だろう? 何かを持っているわけではないようだけど、何かを待っているみたいだ。
 あ、も、もしかして……

「道が暗い。転ぶといけないから手を繋ごう。そうすれば僕たちならどちらかが転んでももう一人が支えられるだろ」
「うん」

 私はそっとクロノの手に自分の手を重ねる。クロノの手は少し冷めてしまっていたけど、とても温かく感じる。
 温かく感じるのは手だけじゃない。体の置くから温かさを感じるのは温泉に入っていたからだけじゃない。
 こうしてクロノと一緒だから、クロノと手を繋いでいるからだと思う。
 不思議だな。たったそれだけのことなのにこんなにも心が温かい。こんなにも幸せな気分になれる。
 暗いなと思っていた道も、もう避けようとも思わない。
 今なら何だって平気だと思える。

「ねえクロノ、明後日どこかに遊びに行かない?」

 こんなデートの誘いもできた。
 私らしくというのがどんな方法なのかまだわからないけど、それも少しずつ見つけていこう。
 大丈夫、この手に温もりがあるから。私とクロノは一緒にいられるって思えるから。

「すまないフェイト、明後日ははやてと出かける約束なんだ」

 あ、そういえばそうだった。そんなことを言っていた。

「フェ、フェイト、ちょっと手が痛いんだが。力を入れすぎなんじゃないか」

 せっかくいい気分だったのに。

「なあフェイト、聞いているのか?」
「知らない」

 やっぱり頑張らないと。はやてに負けないように。







  あとがき

 色々と不完全燃焼気味。フェイトのモノローグが書けないorz
 ただそれ以外では書きたいものは書いたつもり。あと入浴シーンが少ないってつっこみは禁止。
 しかしこれでGW用第一弾はおわった。なのはさんの出番が予定より減ったのはこっそり秘密。



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