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 昨日のフェイトちゃんの言葉が頭に残ってあまり眠れへんかった。

 ――その腕はそういうことだと思ってもいいの?
 ――そう、分かった

 あれは絶対誤解したわな。
 せやけどフェイトちゃんがクロノ君のことが好きやったなんて知らへんかった。
 フェイトちゃんは大切な友達やし、応援したあげな。
 まずはわたしとクロノ君の誤解を解くところから始めんと。
 ……なのになんでやろう、フェイトちゃんとクロノ君が仲良くしているところ考えると胸が苦しくなるのは。


はやてとフェイト



 校門まで今日は非番のシグナムが送ってくれる。
 一人でも大丈夫なんやけど一緒にいてくれるのは嬉しいし、断るとシグナムたちが困った顔するから送ってもらっているんや。

「おはよう、はやて」
「はやてちゃん、おはよう」
「すずかちゃん、アリサちゃん、おはようさん。
 シグナム、ここまででええで。後は二人と一緒やから」
「わかりました。ではこれで失礼します。帰りの迎えは必要ですか?」
「あ、今日は私たちもお休みなので大丈夫です」

 なら今日の放課後はみんなでお出かけやな。
 あっ、なのはちゃんは昨日のことで管理局に行かなあかんと言っておったし四人やな。

「では主はやてのことをお願いします」
「任せてよ」
「シグナムは心配性やな」

 シグナムが立ち去っていく。せやけどなんや今日はいつもとなんか違うような気がするな。
 考えてみれば朝から何や様子が変やったし、登校中も話しながら何や考えているようやった。

『主はやて』

 何や? いきなり思念通話使うやなんて。
 別に普通に話せばいいやないか。それともすずかちゃんたちには聞かれたくない話なんやろうか?

『私たちはあなたの騎士、あなたの選んだ道に従うつもりです』

 知っとる。わたしとしてはシグナムたちももう少し自由に生きてもええと思うんやけどな。

『ですから本来ならば私が口を出すべきことではないと思うのですが一つだけ。
 友人を大切に思う気持ちはあなたの長所だと思います。
 ですが、あなた自身が真に大切に思えるものからは目を逸らさないでください』
『それはどういうことや?』
『申し訳ありません、これ以上は私の口から申し上げることではありません。
 分をわきまえぬ行い、申し訳ありませんでした』

 シグナムの背中が門の向こうに消える。それに合わせて思念通話も途切れる。
 普段のシグナムらしくない行動や。

「どうかしたの?」
「なんでもあらへんよ、はよ教室に行こうか」
「それもそうね」

 三人で校舎の中へ入ってく。せやけどシグナム、わたしに何を伝えたかったんやろ?




 昼休み、今日はなのはちゃんがお休みやったから四人でお昼ご飯や。
 せやけどその前にフェイトちゃんとしっかりお話せんとな。

「それで話って何?」

 校舎裏で二人だけになるとフェイトちゃんが話しかけてきた。
 話があること事態は思念通話で伝えておったから昼休みになったらすぐに二人でここまできた。

「昨日の事や」
「そう」

 昨日のことで二人だけにならんと内容なんて一つしかあらへん。
 フェイトちゃんもそれで何のことかわかったはずや。

「フェイトちゃんがクロノ君のこと好きやったなんて、わたし知らへんかった」
「私も、まさかクロノをそんなふうに想っていたなんて思ってもいなかった。
 だけどクロノがはやてとばかり仲良くしているのを見ていたら気がついちゃった。
 たぶんこれが好きって感情なんだって」

 せやか、やっぱりフェイトちゃんはクロノ君が好きなんやな。
 クロノ君もフェイトちゃんのこと大切に想っとるようやし、すぐには無理でもいずれはお似合いになるんやと思う。
 せやから誤解はしっかり解いておかんとならん。

「だからはやて、私、負けないよ」
「それは誤解や、わたしとクロノ君はなんにもあらへん。
 わたしだって別にクロノ君のことが特別好きってわけやない。
 わたしのはフェイトちゃんのこと応援するで」

 クロノ君のことは嫌いやないけどフェイトちゃんが思っとるような特別な感情やない。
 わたしとしても二人が上手くいくのは嬉しいことや。

「………はやて、本気で言っているの?」

 なんや、突然フェイトちゃんの雰囲気が変わりおった。
 なんやわからんけどものすごく怒っとる。昨日以上に怒っとる。

「ほ、本気に決まっとるやん。なんでそんなこと訊くの」
「嘘」
「嘘やない」

 なんでやねん。わたしは本当に二人が上手くいけばいいと思っとるのに。
 ……なんやろ、突然胸が苦しくなりおった。

「はやて、私ははやてからそんな言葉が聞きたかったわけじゃない。
 ううん、そんな言葉なら聞きたくなかった」

 フェイトちゃん……

「私はねはやて、呼び出された時から昨日のことを話されるんだと思っていた。
 私がクロノのことを好きだって言って、はやても同じだって教えてくれると思っていた。
 私は、はやての無理矢理押し殺したような言葉が聞きたかったわけじゃない!」

 お、押し殺したってそんなことない。わたしがいったのは本当の事や。

「それは違うで、フェイトちゃん。わたしは本気で二人が上手くいけばええと……」

 またや、また突然胸が苦しくなりおる。

「ほらね、やっぱりだ」

 突然フェイトちゃんが微笑んだ。せやけどそれは嬉しいそうな笑みやない。
 何かを諦めたような、かわいた笑みや。

「私ははやてと友達でいられと思ってた。例えはやてがクロノのことが好きなんだとしても。
 だけどはやてがそんな態度でいるなら、友達でなんかいられない」
「フェイトちゃん……」

 なんで、なんでそんなこと言うんや。

「はやてなんて……大嫌い!」

 フェイトちゃんが走っていく。
 追わなあかんってわかっとるのに、このままやあかんってわかっとるのに……
 わたしは、そこから動くことができへんかった。




 お昼からフェイトちゃんとはやてちゃんの様子がおかしい。
 二人ともいつまでったても戻ってこなかったし、教室に戻ってきたのも授業が始まる直前だった。
 それにフェイトちゃんははやてちゃんを冷たい目で見ているし、はやてちゃんはフェイトちゃんを見てもフェイトちゃんが気がつくと慌てて目を逸らしている。
 やっぱり、二人の間で何かあったんだと思う。

「ああもう、なんなのあの二人」
「アリサちゃん、落ち着いて」
「わかっているわよ」

 休み時間になっても二人とも動こうともしない。
 だからアリサちゃんが不満に思う気持ちもわかる。
 だけど二人のいる場所には私達が立ち入ってはいけないものもあるから、私達じゃ何の力にもなれないかもしれない。
 こんな時、なのはちゃんがいてくれたらいいんだけど……

「…よし、すずか、放課後話を聞くわよ。いいわね」
「ア、アリサちゃん、だけど言いたくない事もあるよ」
「だから何よ。あんなのどう見たって二人が喧嘩してるだけじゃない。
 そりゃ誰だって言いたくないことの一つや二つあるかもしれないし、二人の場合魔法とかもかかわるからあまりいえないこともあるでしょ。
 だけど友達同士が喧嘩しているのに私たちが何もしちゃいけないってことはないわ。
 言えないなら言えないで理由だけは聞かせてもらうんだから」

 アリサちゃん……
 そうだね、うん、友達が喧嘩しているのに私達が黙っていないといけないってことはないよね。




 結局あれからフェイトちゃんと話すことはできへんかった。
 思念通話を送っても繋がらへんし、話しかけることもできへんかった。
 せやからみんなでお出かけもなしになり、今は誘ってくれたすずかちゃんの家に来とる。

「それで、何があったの?」
「わたしにもよくわからへん」

 ノエルさんの淹れてくれた紅茶で喉を潤しながらお昼のことを思い出す。
 フェイトちゃんはなんであんなこと言うたんやろう?

「最初から話してくれると嬉しいかな。もちろん話せないことは言ってくれなくてもいいから」
「せやな、わかった、ちょっと長くなるけど聞いてくれる?」
「うん」

 それからわたしはすずかちゃんに昨日の仕事のことから今日のお昼にあったことまで話した。
 本当はフェイトちゃんの気持ちをわたしが言うのはいけへんことやと思うけど、それを言わないと話が通じへんから。

「うーん」

 話を聞き終わったすずかちゃんは顔を若干こわばらせながら真剣に考えてくれておる。

「フェイトちゃんがクロノさんのことを好きだって言うのはちょっと意外だったけど、フェイトちゃんが何を言いたいのかはちょっとわかるな」
「ほんまか?」

 わたしにはまったくわからへんのに。

「フェイトちゃんははやてちゃんにも自分の気持ちを正直に言ってほしかったんだと思う」
「せやからわたしは二人のことを応援するって言うたやん」
「ううん、だってはやてちゃんもクロノ君のこと好きでしょ?」
「な、な、何言うてんねん! わ、わたしがク、クロノ君のこと好きやなんてそんなこと……」

 またや、また胸が苦しくなる。
 そらクロノ君は頼りになるし優しいし、一緒におると安心するし、もしかしたら好きなんやないかと思ったこともあるけど、だからってフェイトちゃんのようにクロノ君のこと想っておるわけやないし……

「ほらやっぱり」

 すずかちゃんが優しく微笑んでくれる。

「はやてちゃんはどうして否定するのかわからないけど、私にはやっぱりはやてちゃんはクロノさんのことが好きなんだって思うよ。
 今だってクロノさんのこと話して顔が赤くなっているもの。
 以前クロノさんがはやてちゃんを抱っこしていた時と同じだよ」
「せやからあれはわたしが車椅子から落ちたのを助けてくれただけで……」

 あれは誤解やと何度も言うたのに。

「うーん、たぶん誰から見ても私と同じように思うと思うんだけど……」
「そ、そうなんやろうか?」

 わたしがクロノ君のことが好きなようにみんな見えてるんやろうか。
 もしそうなら恥ずかしいやん。

「本当は秘密にしておかないといけないんだけど、この場合は仕方ないかな。
 あのね、実は私、はやてちゃんがクロノさんとデートしてたときのこと知っているの」
「へ?」

 デートっていうともしかして以前一緒にピクニックに行った時の事やろうか?

「シャマルさんからその時の一部始終を録画したDVDを見たことがあるの」
「な、なんやて!?」

 あ、あん時のデータはわたしがしっかりと没収しといたはずや。
 いや、そんなことより一部始終ということはもしかしてあの場面も見られとるんか!?

「あの時のはやてちゃんは見ているだけでクロノさんのことが好きなんだなってわかったよ。
 一緒に散歩している時も、シートに移る時も、一緒にお弁当食べている時も、その後のお昼寝の時も、どの場面でもはやてちゃんは幸せそうだった。
 口では否定しても本当にクロノさんのことが好きなんだなって思えたよ」
「そ、それはやな……」

 あん時が楽しかったのは事実や。クロノ君と一緒におるのは楽しい。
 シグナムたちと一緒におる時とは違う充実感があるのはたしかや。

「それに目が覚めた後のはやてちゃんの言葉は、本心だと思うし」
「あ、あ、あれはやな……」

 やっぱり聞かれとる!!
 今でもなんであんなこと言うてしもうたのかわたしにもわからへんのに、誰かに見られたなんて耐えられへん。

「ねえはやてちゃん、もう一度クロノさんのことどう思っているのか考えてみない?
 私はやっぱりはやてちゃんはクロノさんのことが好きなんだと思うから」

 わたしがクロノ君のことをどう思っておるのか……
 クロノ君は優しくて、頼りになる。クロノ君は一緒におると安心する。胸の奥が暖かくなる。
 クロノ君はいつも急がしそうやけど、そんな中でもわたしたちのことを気にしてくれとる。
 クロノ君はわたしなんかよりも辛いことをいっぱい知っておって、それでも前を向いて進んでいる。
 わたしもああいうふうになりたいと思える人。
 ずっと会えへんと寂しくて、せやけど会えるととっても嬉しくなる人。
 なぜかわからんけどつい甘えたくなってしまう人。
 フェイトちゃんが好きな人、そしてわたしが好きかもしれへん人。
 そんでもって、傍におるととっても幸せな気分になれる人。
 わたしが、わたしが…………一緒にいてほしいと思える人。

「答えは出たみたいだね」
「…すずかちゃんの意地悪」

 絶対顔真っ赤や。もう、本当に嫌になるやん。
 思えば一緒にいることはあんましなかったんやけど一緒にいる時はいつも嬉しかった。
 ピクニックに行く時はとても心が躍っていた。気がつけばいつもよりも身支度をしっかりと整えておった。
 風邪を引いた時はわたしが寝るまで手握っててくれて、その後もずっと手を離さんでくれた。
 お仕事の時は挫けそうになっても支えてくれた。
 わたしは…こんなにもクロノ君のことが好きやったんやな。
 せやけどフェイトちゃんがクロノ君のこと好きなら……

 ――友人を大切に思う気持ちはあなたの長所だと思います。
    ですが、あなた自身が真に大切に思えるものからは目を逸らさないでください

 ああ、シグナムもわたしの想いをわかっておったんやな。だからあんなこと言ってたんやな。
 わたしはそれでもフェイトちゃんがクロノ君のこと好きならと思ってしまうけど、それじゃああかんのやな。
 シグナムの言うとおり、わたしも自分が大切だと思える気持ちは大切にせなあかんのやな。
 だからフェイトちゃんにはわたしの気持ちをしっかり言わへんとあかん。クロノ君のことが好きやってしっかりと。

「フェイトちゃんは…わたしを許してくれるやろうか?」
「きっと大丈夫だよ。だって、フェイトちゃんもはやてちゃんも友達だもん」

 すずかちゃん……
 せやな、きっと大丈夫や。まずは明日、もう一度しっかり話をして謝らんとな。




 あんなこと言っちゃってどうしよう。
 はやてものすごく困っちゃったよね。
 でもはやても悪いんだよ。クロノのこと好きなくせにあんなこと言うなんて。
 はやてがクロノのことを好きだとは知らなかった。だから最初は仲良くしていても気にしたりしなかった。
 だけど昨日のは別、クロノに抱えられて、首に腕を回していたはやてはあんな状況だっていうのにどことなく幸せそうだった。
 だから気がついた、はやてがクロノのことが好きなんだってことに。そして、私もクロノのことが好きなんだってことに。
 それならそれでかまわない。だからはっきりと教えてほしかった。
 それなのにクロノのことが好きじゃないって、応援するって、あんな顔して言われたって嬉しくなんかないのに。
 嘘だってすぐにわかるようなこと言うなんて。

「フェイト!」
「あ、ごめんアリサ」
「まったくもう、いい加減にしてよね」

 今はアリサと二人で公園に来ている。
 アリサが二人で出かけようって言ってくれて、だけど翠屋に行かないでここに来た。
 それではやてと何があったのか訊かれた。
 最初は話したくなかったけど、友達同士が喧嘩しているのに黙って見ていることなんかできないって言われて話す事にした。
 昨日の任務の内容は伏せて、ただはやてがクロノのことを好きなこと、私がクロノのことが好きなこと、そしてそのことで今日のお昼にあったことを話した。
 そうしたらアリサは少しの間考え込んでいたから私ももう一度お昼のことを思い出していたんだ。

「まったく、はやてにも困ったものだわ。
 たぶんはやては本当に自分はクロノのことを好きじゃないって思い込んでいるんでしょうね」
「そうなの、かな?」

 そんなことあるのかな? はやては絶対クロノのことが好きだし、それを行動に移しているように見えたけど。

「はやては周りのことを考えすぎなのよ。
 足のことで周りに世話を焼かせてきた影響なんでしょうけど自分が周りに迷惑かけることを気にしているのよ。
 だからつい相手のことを優先するし、自分が我慢するのよ」
「アリサはすごいね。私はぜんぜん気がつかなかった」
「それはフェイトも同類だからよ。だいたい恋なんて戦いなんだから相手が譲ってくれるってんなら譲ってもらえばいいのよ。
 どうせ後で苦しむのは向こうなんだから」
「そ、それはどうかな……」

 その時はその時で私も苦しむような気がする。
 だけどアリサの言う通りなのかもしれない。

「まあだけどフェイトにも問題ありね。さすがにちょっと言いすぎよ。
 まあフェイトのことだから今頃自己嫌悪に潰されそうになっているんだろうけど」

 図星だ。本当にアリサは良く見ている。

「まあはやてのことは大丈夫でしょ。今頃すずかが話を聞いている頃だし、たぶん答えを出してくるでしょうね。
 だけどフェイト、覚悟しておきなさいよ。その場合はやてもクロノのことが好きだって自覚して、本気でとりにくるだろうから」
「う、うん」

 そうなんだ。考えてみればそれは大変だよね。
 クロノは私のことを妹としてしか見てくれていないし、家族なのにクロノはあまり家に帰ってこないから一緒にいる時間もそんなに多くないし。
 アースラにいる時はそれなりに話す時間をとってもらえるけど、あまり迷惑はかけたくないから。

「しかしはやてがクロノのこと好きなのは前から知っていたけど、まさかフェイトまで好きだとはね。
 私はあんまり会ったことないけどそんなにいい男なのかしら?」
「うん、クロノは頼りになるし、優しいし、困っている時はそっと助けてくれるよ。
 ぶっきらぼうなところもあるけど、それは照れ屋だからだし」
「あっそう、はいはい、良かったわね」

 うん、クロノと一緒にいられて幸せだよ。
 だけどあんまりクロノのこと話してアリサまでクロノのこと好きになったら嫌だな。

「…フェイト、今何考えていた?」
「え?」

 突然どうしたのかな? まさか私が考えていたことがわかったわけじゃないだろうし。

「まさかはやてとクロノが仲良くしているところ想像して嫌な気分になったわけじゃないでしょうね?」
「そんなことないよ」
「じゃあまさかわたしがクロノのこと好きになるんじゃないかとか考えていた?」
「――――っ!!?」
「図星か。フェイト、あんたね!」
「はははは……」

 アリサの小言を聞きながら思う。
 アリサたちと友達になれてよかったなって。
 それと、明日もう一度はやてとしっかり話をしよう。

「聞いてるの!?」
「う、うん」

 だけどちょっと今のアリサは怖いかな。




 夜の間にフェイトちゃんからメールがあった。
 明日の朝は早めに来てほしいって言われ、わたしもそのつもりやったから返事をした。
 そんで今朝、わたしとフェイトちゃんはわたしたちしかおらん教室でお話した。

「なあフェイトちゃん、昨日はすまんかったな。やっぱりわたし、クロノ君のことが好きやねん」
「ううん、私も言いすぎてごめんね」

 仲直りできてほんま良かった。

「ねえはやて、クロノはたぶん私のこと妹としてしか見てくれていない。だけど負けないから」
「わたしも負けへんで。まあクロノ君はわたしのことも恋愛対象外として見てるような気もするんやけど」

 なんとなくやけどフェイトちゃんと同い年ってだけで対象外にされそうな気もするんやよな。

「だけど関係ないよね。だったら見てもらえるようになればいいんだから」
「そうやな、頑張ってクロノ君に気に入られなあかんな」
「負けないよ」
「もちろんわたしもや」

 クロノ君から見ればわたしたちはまだまだや。実際まだ子どもやし、クロノ君からそういう風に見られんでもしかたがない。
 せやからちょっと長期戦やな。
 これから先、魔導騎士としても女としても、頑張らんとあかんな。




 昨日は本当に疲れたな。一日中隊長さんにお説教されて始末書書かされて、そのうえみんなにはからかわれるし。

「なのは、本当に疲れているのね」
「なのはちゃん、大丈夫?」
「大丈夫だよ、アリサちゃん、すずかちゃん。そういえばフェイトちゃんとはやてちゃんはもう来ているのかな?」

 昨日は二人とも会えなかったし、今朝もフェイトちゃんは朝一緒になることが多いのに会わなかった。
 二人とも何か突然事件があると行かないといけないからもしかしたら今日はいないのかも。

「フェイトとはやてならほら、向こうにいるわよ」
「あ、本当だ」

 あれ? だけどなんか昨日までと少し雰囲気が違うような気がする。

「ねえ、なんか二人とも前よりも仲良くなっていない?」

 二人の仲がいいのはいいことだけど、二人だけで盛り上がっていると少し寂しいかな。

「いろいろあったのよ」
「うん、いろいろあったよね」
「ふぇ?」

 私がいない間に何があったんだろ?

「まあなのはにはまだ早い話よね」
「そうかも」
「???」

 もしかして私だけ仲間はずれ?
 ええー! 二人とも、何があったのか教えてよ!







  あとがき

 ファーストミッションの後日譚と言うか全く関係ない話というかはやてとフェイトのお話です。
 仲良し五人組のお話だけどなのはさんはあいかわらず出番がないし、今回初めてクロノの出番がなかった。
 ちなみにDVDはエイミィとシャマルが保有、視聴経験者はシグナム、すずか、アリサを加えた五人です。
 ザフィーラとヴィータには秘密です。



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